
VRChat は、ワールドと呼ばれるVR空間に集まる世界中の人たちとコミュニケーションを楽しむソーシャル VR サービスです。VR の機材がなくてもプレイできますが、VR ヘッドセットがあると、まるで自分がワールドの中にいるような体験をすることができます。
この記事では、今注目を集めている VRChat の概要と始め方、初心者がまず行くべきワールドを紹介しています。
1. VRChatとは
VRChat とは、ユーザーが作成したワールドと呼ばれる 3D 仮想空間にあるワールドと呼ばれるチャットルームのようなものの中で、さまざまな人と交流できるソーシャル VR サービスです。VRChat でのコミュニケーションは基本的にボイスチャットのみですが、筆談用のシステムを利用したり、手ぶり身ぶりでコミュニケーションを取ったりする人もいます。
VRChat は名称に VR が含まれていますが、VR用の機材がなくてもプレイできます。対応している PC は Windows のみ。スマートフォンでのプレイはサポート外です。
2. VRChatに注目が集まるワケとは
この項目では、今、VRChat が注目されている理由を2つ挙げて解説します。
オリジナルのアバターやワールドで遊べる
VRChat は、ゲームエンジンである Unity の開発環境を利用し、アバターやワールドをアップロードできるのが最大の特徴です。これまでのソーシャルゲームや MMO では、元々用意されていたものの中からカスタマイズして使うのが一般的でした。ところが VRChat は、ユーザーが用意した3Dモデルを使うことができ、幅広い表現が可能になりました。
これにより、ユーザーは自分の分身となるアバターを設定し、VRChat 内を行動するという遊び方ができます。実際の自分の顔や個人情報は公開されず、別の人格・キャラ設定をし、さまざまな人と交流できます。
アバターは、VRChat が用意しているものの中から好みのものを選んで使用します。一定時間プレイするなど条件を満たしてユーザーランクが上がると、プレイヤー自身が用意したアバターをアップロードして使えます。
VRChat は、作成したワールドの中でコミュニケーションを取るという遊び方ができます。ワールドとは、VR 内にある自分専用の空間のようなものです。公式サーバーに素材をアップロードしてワールドを作成し世界中の人たちと交流するのが、VRChat ならではの楽しみだと言えます。
もちろん、アバターやワールドの各自でのアップロードは必須ではありません。VRChat 全体に公開されているワールドやアバターを使うなら、追加料金なしで自由に利用できます。
バーチャル空間で世界中の人と交流
VRChat にログインすると、仮想空間が出現します。ユーザーは VRChat の仮想空間のなかで世界中の人たちとコミュニケーションできます。インターフェイスは基本的に英語ですが、ユーザーの中には日本語を学びたいという外国人ユーザーがいます。彼らとは、日本語でのやりとりも可能です。
VRChat をはじめるには「VRヘッドセット」の準備
VRChat には、PCとVRヘッドセットをつないで利用する「 VRモード」と、PCのみで遊べる「デスクトップモード」の2種類があります。VRChat をしっかり楽しみたいなら、VR ヘッドセットを用意して「VR モード」で利用するのがおすすめです。
ここでは、VRChat の VR ヘッドセット版と PC デスクトップ版について紹介します。両者の違いについても解説します。
VRヘッドセット版の特徴とは
VR ヘッドセット版では、360度の VR でワールドを体験できます。目で見る世界だけなく、VR コントローラーを使って、身振り手振りでのコミュニケーションも可能です。ベースステーションがあれば全身トラッキングが可能になり、バーチャル空間で細かな動作ができます。自分が実際にバーチャル空間の中にいるという、強い没入感を味わえます。
ただし、全方位を描写する必要があるため、スペックが高めの PC が必要です。
一体型 VR ヘッドセット
VRChat を楽しむのにおすすめなのが、スタンドアロン型と呼ばれる一体型 VR ヘッドセットです。スタンドアロン型とは、ディスプレイやバッテリーなど内蔵の一体型の VR ヘッドセットのことを指します。 Wi-Fi に接続すれば、VR ゴーグル単体で VR の世界を楽しめます。スタンドアロン型の VR ゴーグルには高画質なモデルが多く付属のコントローラーを使えばワイヤレスで操作できます。
VR ゴーグルの中で今最も人気があると言える「 Oculus Quest 2 」は、スタンドアロン型の VR ゴーグルです。「 Oculus Quest 2 」は 6DoF モデルで、 首の回転と傾きだけではなく上下左右の体の移動も認識できるため、VR Chat のコミュニケーションも十分楽しめます。
VRChat に対応しているVRヘッドセットは次の通りです。
・HTC VIVE/VIVE Pro
・Oculus Rift/Rift S
・Oculus Quest / Quest 2(Oculus Linkを利用)
・Windows Mixed Reality(Windows MR)系
・VALVE INDEX など
※2021年11月末時点では、PlayStation VR やスマートフォンなどには未対応
PCデスクトップ版
VRChat の PC デスクトップ版(デスクトップモード)は、VR ヘッドセットがなくてもプレイできるモードです。一般的な PC ゲームと同じように、キーボードやコントローラーでアバターを操作して VR の仮想現実を楽しみます。
VRChat を体験したいけれど VR ヘッドセットは持っていないという方には、PC デスクトップ版(デスクトップモード)でまず試してみるのがおすすめです。スタンドアロン型に比べると没入感は圧倒的に劣りますが、求められるPCスペックは VR モードよりも低めです。
3. VRChatの始め方
この項目では、VRChat の始め方を3つのステップに分けて紹介します。
「 VRChat 」のアカウント作成
最初に VRChat のアカウントを作成します。公式サイトにアクセスし、右上の「 LOGIN 」または中央の「 Jump in Now 」をクリックし、アカウントを作成します。
「 Registration 」でユーザー名やメールアドレス、パスワード、生年月日を入力します。ガイドラインや利用規約、プライバシーポリシーなどの項目を確認後、チェックを入れて承認し、受け取ったメールから登録を完了します
Steamから「VRChat」のインストール
VRChatのPC版は「Steam」から、Quest版はデバイス/Oculusアプリからダウンロードします。SteamでVRChatを利用するのに「SteamVR」を持っていない場合は、一緒にダウンロードするのがおすすめです。
Steam のアカウントを使って VRChat にログインすることができますが、使えるアバターは既存のもののみ、というような制限があるため、VRChat 用のアカウントを先に作成しておくといいでしょう。
基本操作とメニューボタンを覚える
アプリを起動してユーザー名とパスワードを入力すると、初回のチュートリアルが始まります。チュートリアルでは、移動方法や操作方法について教えてくれますが、すべて英語表記なので注意が必要です。
初回のチュートリアルを閲覧後、ホームからワールドへ移動できます。周りのユーザーとコミュニケーションを取れるようになります。
4. 初心者におすすめのワールド3選
VRChat には国籍や暮らしている地域を問わず、さまざまな人たちが集まっています。それまで全く知らない間柄だったのに、VRChat でのコミュニケーションを通じて親しくなることも多くあります。
とはいえ、最初は知らない人と話すのは緊張しますし、英語でのコミュニケーションが中心なのでハードルが高く感じられるものです。初めは、日本人向けに作られたワールドに遊びに行くことをおすすめします。
ここでは、VRChat 初心者におすすめのワールドを3つ、厳選してご紹介します。
①【JP】Tutorial world
VRChat 初心者にまず訪問してほしいワールドが「【JP】TUTORIAL WORLD」です。「【JP】TUTORIAL WORLD」には VRChat の操作方法がすべて日本語で壁に書かれており、ワールドの中を歩きながら VRChat の遊び方をひと通り学べるからです。
また、日本人が多数訪れるため、運が良ければ有志のガイドの方が教えてくれることもあります。訪問するなら、日本人が訪れるピークタイムと言われている21〜24時頃がおすすめです。
② JP hub 日本人向け集会場
「JP hub」は、日本語を話す人同士の交流を目的として作られたワールドです。ワールドの入り口には日本語クイズが掲示されており、4つある答えから正解を1つ選びます。クイズに2回正解すると、メイン会場へ入場できます。
このワールドは次のワールドへ進む「ハブ」としての役割を想定しており、待ち合わせや人集めに使われています。比較的新しいワールドのため、常に人の流れがあるのが魅力です。ほかのワールドを訪れたのに誰もいない場合は、「JP hub」のような人が集まるワールドを訪問するといいかもしれません。
③ ポピー横丁-Poppy Street-
新宿ゴールデン街をモチーフとした飲み屋横丁です。横丁にある店舗それぞれの中にも入れます。飲み屋横丁らしい入り組んだ構造をしており、店舗ごとに部屋が分かれているのが特徴です。飲み屋街ですから昼間はあまり人がいませんが、夜になるとたくさんの人で賑わうワールドです。
お店の中で、お酒などのドリンクを飲みながら雑談するのがこのワールドのコミュニケーションの定番です。隠し要素として路地裏でこっそり話ができたり、弾き語りなどのパフォーマンスを見られたりします。現実世界に共通するような楽しみ方ができる点も、このワールドが多くの人に人気がある秘訣なのかもしれません。
5. VR Chatの最新サービスと今後のアップデート
最後に、VRChat の最新サービスと今後のアップデート情報についてお知らせします。
有料サービス「VR Chat Plus」の開始
新たに「 VRChat Plus 」というサブスクリプションサービスが始まりました。月額9.99ドル(約1,000円)または年額99.99ドル(約1万円)の2プランから選べ、次のような機能が提供されています。
・ネームプレートにアイコンが付けられる
・アバターを100体までお気に入りに登録できる
・アーリーサポーターバッジがもらえる
・トラスト(信用)レベルが上昇しやすくなる
ネームプレートのアイコンには、自分のメインアバターを見せられます。他のアバターを着込んでいても、ネームプレートにいつでも自分のメインアバターが付いているため、さまざまなアバターを使いたいユーザーにうれしい機能です。
トラスト(信用)レベルの上昇は、オリジナルのアバターや市販アバター、オリジナルワールドのアップロードに効果的です、VRChat には、Visitor、New User、User、Known User、Trusted User と5つのトラストレベルがあります。アバターやワールドデータのアップロードはNew User以上でないとできないので、オリジナルのアバターやワールドを使って VRChat を楽しみたい方は課金するのもいいでしょう。
待望の日本サーバーの開始
2021年6月16日のアップデートに伴い、アメリカ、ヨーロッパ、日本を対象に地域別サーバーが導入され、すでに存在するワールドを選ぶ際、サムネイル画像にサーバーの地域を示す国旗が表示されるようになりました。
ワールドの作成する際に居住地域に近いサーバーを選ぶと、より低い Ping の環境下で「 VRChat 」を楽しめます。また、最適なサーバーを選ぶとレスポンスタイムとも呼ばれるレイテンシが短くなり、動きや音声のズレが最小化されると、公式サイトに説明があります。
メニュー画面やカメラ機能が大幅に変更
2021年11月8日に実施された大幅なアップデートでは、メニュー画面やカメラなどのデザインが変更され、直感的に操作しやすくなりました。サイドタブが追加され、アバターやフレンドの検索が簡単にできるように進化しました。
カメラには、被写界深度を調整する機能が追加されたうえ、オートフォーカスやマニュアルなども選択できるように。特定のオブジェクトだけにピントが来ているような、表現力のある写真を撮影できます。
6. VRChatで世界中の人とのコミュニケーションを楽しもう!
VRChat は、さまざまな人と交流できるソーシャルVRサービスです。WindowsPC があれば楽しめますが、VR ヘッドセットがあると、現実世界にいるかのように仮想世界を歩き、手ぶり身ぶりを介してコミュニケーションが取れます。VRChat の世界をフルで楽しみ、VRChat に世界中から集まる人々との交流を楽しみましょう。