
近年、「クロスプラットフォーム・マルチプラットフォーム」に対応したゲームが増えています。クロスプラットフォームへの対応は、ユーザーに新たなゲーム体験を提供し、ゲーム内での交流を活性化します。それにより、ゲームのプレイ寿命を延ばし、遊び方の幅を広げていくことができます。ゲーム開発において、クロスプラットフォーム・マルチプラットフォームへの対応は、今後も重要なものとなるでしょう。
そこで今回の記事では、クロスプラットフォーム・マルチプラットフォームの基本的概要と、目的や技術的な障壁について解説します。ゲームにクロスプラットフォームの導入を検討しているのなら、この機会に詳細をチェックしてみてください。
目次
- 「クロスプラットフォーム」とは?
- クロスプラットフォームの目的とは?
- クロスプラットフォームを実現するための技術的障壁
- Diarkis を活用し、クロスプラットフォームを実現しましょう
「クロスプラットフォーム」とは?
クロスプラットフォーム・マルチプラットフォームとは、同じ仕様のゲームやアプリを別のデバイスでも動かせる仕組みのことを指します。
具体的には、PCゲーム(Steamなど)やコンシューマーゲーム(PS4・5、ニンテンドースイッチ、Xboxなど)、スマホゲーム(iOSやAndrod)などが、デバイスの垣根を越えて、オンラインで協力・対戦プレイができる環境がクロスプラットフォームです。クロスプラットフォームを導入することで、例えば、PCでプレイしているユーザーと、PS5でプレイしているユーザーが、同じゲームを一緒に遊ぶことができます。
現在、多くのゲームがクロスプラットフォームに対応しており、ニンテンドーの公式ホームページでは、以下のようなゲームがクロスプラットフォームの人気ゲームとして紹介されています。
・フォートナイト
・ポケモンユナイト
・ドラゴンクエストⅩ オンライン
・マインクラフト
2021年3月には、人気FPS「Apex Legends」がニンテンドースイッチに対応し、PCやPS4・5とのクロスプレイが可能となったことで話題となりました。今後も、オンラインで遊べる人気ゲームや新作ゲームは、特定のゲームデバイスのみで楽しむものではなく、クロスプラットフォーム・マルチプラットフォームに対応していく可能性があります。
参考:https://dev.epicgames.com/ja/news/why-cross-play-matters
https://store-jp.nintendo.com/list/tag/0067/
クロスプラットフォームは珍しい技術ではなくなっている
既に、クロスプラットフォームおよびマルチプラットフォームは、ゲーム業界において珍しい技術ではなくなっています。ユーザーにもその認識は共有されているとみられ、特にオンラインゲームにおいては、クロスプラットフォームが少しずつ「当たり前」となりつつあると言えるでしょう。
カナダのゲーム開発スタジオ、Phoenix Labsで、人気タイトル「Dauntless」のデベロッパーを務めたNick Clifford氏によると、現在はゲームタイトルの60%以上に2種類以上のプラットフォームが用意されているそうです。その結果、ユーザーの多くが友人と同じゲームを一緒にプレイできるようになったというようなメリットを実感しています。ユーザーの利益につながっている点は、クロスプラットフォーム・マルチプラットフォームの特徴の一つです。
クロスプラットフォームは企業の利益にもつながる
クロスプラットフォーム・マルチプラットフォームの導入は、ユーザーのゲームに対する意欲を高めることにもつながっています。
人気TPSゲーム「フォートナイト」を例にとると、2020年6月の段階で18.3%のユーザーが、複数のデバイスを使ってプレイしていたことが分かっています。さらに2020年3月から6月までのプレイ期間を分析したところ、実際に60%以上のユーザーが別のプラットフォームのプレイヤーとクロスプレイをしていたと報告されているのです。
クロスプレイをしているユーザーは、そうでないユーザーと比較して約570%プレイ時間が長くなり、プレイ回数も増えたというデータがあります。ユーザーに長くゲームをプレイしてもらうためにも、クロスプラットフォーム・マルチプラットフォームの導入が重要だと言えるでしょう。
クロスプラットフォームに対するユーザーのニーズの高まりを受け、開発初期からクロスプラットフォームの導入を想定しているプロジェクトも増えています。「Techanalysis Research」が行った2019年の調査では、25%のユーザーが「クロスプラットフォームによるプレイを望んでいるけれど、ゲーム側が非対応である」と回答しています。さらに同調査では、22%のユーザーが「これまでクロスプラットフォームについて考えたことがなかったが、クロスプラットフォームでプレイしたい」と回答していることもポイントです。
今後クロスプラットフォームの認知度がさらに高まり、ユーザーがプレイするゲームを選ぶ際の基準になることも考えられます。ゲーム開発の際には、本格的なクロスプラットフォーム・マルチプラットフォームの導入を検討することが重要となるでしょう。
参考:https://www.icr.co.jp/newsletter/wtr372-2020415-ogawa.html
https://dev.epicgames.com/ja/news/why-cross-play-matters
クロスプラットフォームの目的とは?
クロスプラットフォーム・マルチプラットフォームの導入を考える際には、その目的を明確にさせることがポイントです。以下では、クロスプラットフォームをゲーム開発に導入する目的について解説します。
ゲームプレイにおけるUX(ユーザーエクスペリエンス)の向上につながる
クロスプラットフォーム・マルチプラットフォームの導入は、ゲームプレイにおけるUX(ユーザーエクスペリエンス)の向上につながります。UXとはユーザー体験を意味し、ゲームプレイを通して得られるユーザーのさまざまな体験・感情を指します。オンライン環境にクロスプラットフォームを導入すると、ユーザーにオフラインにはない体験を提供できるのため、ゲームの新たな魅力を伝えることができるでしょう。
ゲームの動作環境が多様化している昨今、限定されたオンラインシステムではプレイヤー層のゲームの楽しみ方の幅を狭めてしまう恐れがあります。その点クロスプラットフォームの導入は、ユーザー間でデバイスをそろえることを強要せずに、プレイヤー同士の交流を活性化させることができます。場所やプレイ環境を選ばない「誰でも楽しくプレイできるゲーム環境」を実現することが、クロスプラットフォームの目的のひとつになるでしょう。
オンラインのマッチングのクオリティを高める
クロスプラットフォーム・マルチプラットフォームの導入は、オンラインにおけるマッチングのクオリティを高めることにもつながります。ゲームが複数のプラットフォームに対応できていれば、オンライン人口が増加し、スピーディなマッチングでプレイに必要な人数の確保が可能です。
マッチング速度が遅いと、ユーザーは限られた時間を有効活用するために、別のゲームで遊ぶことを選択してしまう可能性があります。オンラインのマッチング速度の遅さが原因でユーザーが減少すれば、どれだけ面白いゲームを作っても、継続してプレイをしてもらうことは難しくなるでしょう。何より「このゲーム会社のオンラインゲームはマッチングが遅い」といったイメージがついてしまう危険性があり、マイナスの評価につながる可能性があります。ユーザーに快適なオンライン環境を提供して、エンゲージメント増加や企業評価の上昇につなげることも、クロスプラットフォーム・マルチプラットフォーム導入の目的になり得ます。
参考:https://dev.epicgames.com/ja/news/why-cross-play-matters
クロスプラットフォームを実現するための技術的障壁
クロスプラットフォーム・マルチプラットフォームの実現を目指す際には、技術的な障壁について考えておくこともポイントです。プラットフォームごとのSDKを使うことで、マルチプレイゲームを開発することは可能ですが、それだけでは幅広いユーザーに楽しんでもらえるタイトルを作ることはできません。
以下からは、クロスプラットフォームの技術的障壁になり得る点について解説します。
全てのユーザーを快適にプレイさせる
クロスプラットフォーム・マルチプラットフォームを導入する際には、全てのユーザーを快適にプレイさせるためのシステム開発が必須です。技術力不足で特定のプラットフォームだけ遅延する、エラーが起きるといった環境では、ユーザーは満足してゲームプレイができません。プラットフォームごとの「格差」はゲームへの不満・不信感につながるため、クロスプラットフォームにおいては全てのユーザーが平等に楽しめる環境の整備を意識しましょう。
参考:https://realsound.jp/tech/2021/03/post-725624.html
ユーザー同士のコミュニケーションにも気を配る必要性
クロスプラットフォーム・マルチプラットフォームを実現するのなら、ユーザー間のコミュニケーション環境にも気を配ることが重要です。オンラインゲームではゲームの内容だけではなく、「誰かとプレイする楽しさ」を重視しているユーザーも珍しくありません。ただマッチングさせるだけではなく、気軽にユーザー同士でコミュニケーションが取れる環境を目指すことで、プレイヤーの定着を進められるでしょう。例えば文章チャット機能やボイスチャット機能などを実装して、クロスプラットフォーム上でユーザーが相手のデバイスを意識することなくコミュニケーションを取れることが理想です。
オンラインルームの検索方法なども工夫して、ユーザーが自由にコミュニケーションを取りたい場に移動できる環境を作ることも大切です。例えば海外サーバと国内サーバを分けて、言語や地域で参加するルームを選択できるようにするなど、技術的に工夫できる余地はたくさんあります。ゲーム中にどんな機能があればユーザーがコミュニケーションを楽しめるのかを考えて、オンライン環境を開発するのもポイントです。
専用ソフトを用いたスムーズな開発環境を構築する
クロスプラットフォーム・マルチプラットフォームを実現するのなら、専用のソフトを用いた開発環境を構築することを検討すべきです。専用のフレームワークエンジンを導入することで、スムーズにクロスプラットフォームの機能を追加・開発可能です。専用の開発環境は効率化やコスト削減などのメリットにつながり、目的とするクロスプラットフォーム導入の達成に近づきます。クロスプラットフォーム・マルチプラットフォームを導入・開発するのなら、まず専用のソフトをチェックしてみましょう。
Diarkisを活用し、クロスプラットフォームを実現しましょう
クロスプラットフォーム・マルチプラットフォームを実現するのなら、専用環境を確立できる当社製品「Diarkis」のご利用がおすすめです。Diarkisは、オンラインのマルチプレイ環境をスムーズに実現するためのフレームワークエンジンで、オートスケール機能や自立して起動できるクライアントサイド対応などの特徴を持ちます。そのほかユーザー間のマッチだけでなく、ルームやサーバなどもマッチングの対象にできる「マッチング・プロファイル」を、いくつでも作成可能です。プレイヤーのレベルやランキングなどの属性を参考に、数十万を超えるユーザーやルームの検索を行うマッチメイキング処理も高速で行われるため、ストレスのないクロスプレイをサポートできます。
また、「Diarkis Group」では異なるプロトコルのユーザーを同一のグループに参加させることが可能で、大人数でのチャットなどを実現することが可能です。さらに、サーバーを経由しないで遅延の少ない通信を確保する「Diarkis P2P」など、快適なクロスプレイに欠かせない機能も備わっています。「Diarkis」には、クロスプラットフォーム・マルチプラットフォームの導入に必要なシステムがパッケージ化されているので、オンラインでクロスプレイを行うゲームの開発をすぐにでもはじめられるでしょう。この機会に「Diarkis」を活用して、クロスプラットフォームのスムーズな導入につなげてみてはいかがでしょうか。