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メタバースの特徴・ NFT やブロックチェーンとの関連性をわかりやすく解説

作成者: Diarkis マーケティングチーム|2021/11/29 9:00:00

メタバースとは、 AR (拡張現実)と VR (仮想現実)の端末を使って多くの人びととつながるデジタル空間のことを指します。最近では、インターネット上に展開される先進的な仮想空間サービスを指す総称として用いられるようになりました。

 シリコンバレーやゲーム業界を中心に世界的に話題になっていますが、メタバースの実体はよくわからないという人も少なくないでしょう。

 この記事では、メタバースの歴史、特徴、現在の状況、活用事例のほか、 NFT やブロックチェーンとの関連性について、専門用語を噛み砕いてわかりやすく紹介します。

1.メタバースとは?

メタバースとは、古代ギリシャ語で超越を意味する「 meta 」と宇宙を意味する「 universe 」という2つの単語を組み合わせた造語です。メタバースは、人が活動できるようにオンライン上に構築された三次元世界や仮想空間を示します。

メタバースの始まり

メタバースという単語は、1992年に SF 作家のニール・スティーヴンスンが発表した「スノウ・クラッシュ」という小説に登場したのが初出です。小説の中に描かれたネット上の仮想世界をメタバースと呼んだのが始まりとされています。

メタバースの歴史は意外に古く、ニール・スティーヴンスンが小説で定義したメタバースに近い世界は、1986年に発表されたビデオゲーム「 Habitat 」で実現されています。

「 Habitat 」は、ルーカスフィルムによる映画作品のゲームメーカーとして知られた LucasArts 社が発表した、マルチプレイヤー型のオンラインゲームです。モデムや電話を通じてバーチャル空間にアクセスしたユーザーは、アバターを介してさまざまな人と交流します。「 Habitat 」は、日本では1990年に富士通が「ビジュアル通信」としてライセンス展開しています。

その後、3DCG で構成された仮想世界「 Second Life 」が2003年にローンチされ、現在も運営されています。「 Second Life 」はメタバースに近いものを実現しています。仮想空間では、ゲーム内通貨を使用し、物やサービスの売買を通じて人びとが交流します。仮想空間で使用するゲーム内通貨を現実の通貨に換金できるのが、「 Second Life 」の最大の特徴と言えるでしょう。

「 Second Life 」のような仮想世界を楽しむゲームは、今も複数存在しています。任天堂の「あつまれ どうぶつの森」も、メタバースの一種です。「あつまれ どうぶつの森」は、ユーザーが自分の分身であるアバターを介して世界を楽しみます。

メタバースがゲームに使われていることが多く「メタバース=仮想空間を使ったゲーム」だと思われがちですが、メタバースという仮想世界を実現するためにゲームという手法があると考えるのが正解です。

メタバースが注目を浴びる理由

メタバースが注目を浴びる理由は、大きく2つあります。

・ VR 空間の中で、今までとは違う新たなコミュニケーションを実現できる

・コロナ禍により、対面コミュニケーションやイベント開催が難しい

2020年以降、世情によってコミュニケーションの形を変えざるを得ない今、リアルにより近いコミュニケーション方法であるメタバースの活用が進み、注目を浴びるようになりました。

 

Facebook 社の社名変更

米国時間の2021年10月28日、Facebook(フェイスブック)は社名を「Meta(メタ)」に変更しました。SNS 事業のほかメタバースの構築にも事業が広がっているため、事業のすべてを表す社名に変更したと理由を挙げています。

フェイスブック改めメタは、まだメタバースの領域で利益を生んでいません。さらに、この先数年間はこの領域での収益が見込めないことを認めています。それでもメタバースには1兆ドル(約110兆円)のビジネスチャンスがあると予測し、開発に向け大きな投資をすると発表しています。


2.メタバースの特徴

仮想空間であるメタバースの特徴について、解説します。

国や土地柄などの外的要因に囚われない

メタバースには世界各国のユーザーがいつでも好きなときに同一の空間にアクセスでき、同じ条件の下、自由に交流して経済活動などを楽しめます。

私たちが暮らす現実世界には国境がありますが、メタバースにはありません。ゲームをプレーするなら、資本力やプレイにかけられる時間など個人的な要因で差が出ることはありますが、現実世界にある国ごとの物価の違いや土地柄のような外的要因によって格差が生まれることはありません。

このようにメタバースは、国や土地柄などの外的に囚われずに、さまざまな人との交流を楽しめます。


非日常的な体験ができる

メタバースがバーチャルであることを活かし、現実の法則に縛られない非日常的な体験ができます。高速で移動したり、空を飛び街を見下ろしたりもできます

2021年時点では、メタバースにVR(バーチャルリアリティ)の概念やAR(拡張現実)の要素が加わり、ブロックチェーン技術や NFT が応用されつつあります。現実世界と同じような交流はもちろん、非日常的な体験もできるのもメタバースの特徴です。


NFTの土地やアイテムなどを売買できる

ブロックチェーン技術を使用したメタバースでは、 NFT の土地やアイテムなどの多くを仮想通貨や法定通貨で取引できるため、メタバース内はもちろん、メタバース外でのNFTの売買ができるようになりました。現実世界で土地やアイテムなどを売買するのと同じように、メタバースの土地やアイテムなどを売買して収益化できます。


3.メタバースの今後

コロナ禍によりコミュニケーション手段のデジタル化が急速に進むのと同時に、 VR 技術の進歩や NFTバブル の影響で、メタバースは大きく注目を集めるようになりました。

この先、メタバースはどのように進化していくのでしょう。この項目では、メタバースの今後について解説します。

多種多様な企業がメタバースへの参入

メタバースに注目しているアメリカの企業はメタだけではありません。2021年には、多種多様な企業がメタバースへの参入を発表しています。

米国時間の2021年11月2日、マイクロソフトは、既に展開しているWeb会議ツール「Microsoft Teams」を、2022年にメタバース向けに拡張する「 Mesh for Microsoft Teams 」を発表しています。また、同じく2021年11月10日、ウォルト・ディズニーのチャペック最高経営責任者は、メタバースへの参入を準備していると発表しています。

 日本企業の参入も相次いでいます。グリーは、アバーチャル配信アプリ「 REALITY 」を手がける子会社 REALITY を中心に利用者が同時参加できる仮想空間「メタバース」事業に参入するため、2024年までに100億円規模の事業投資を行うと発表しています。

 エイベックスは、バーチャルアーティストのプロデュースやバーチャルイベント・ライブの企画制作など、バーチャルエンタテインメント事業を専業とするバーチャル・エイベックス株式会社を設立したことを発表しました。

 30年ほど前にはSF小説の中のものだったメタバースが今や実用レベルに入ってきているからこそ、大手企業がこぞってメタバースの実現を目指しているのでしょう。多種多様な企業がメタバースへの参入を表明し、事業投資を行っています。


投資対象としても注目を浴びる

株式市場において、メタバースは注目を浴びています。投資銀行のモルガン・スタンレーによると、メタバースの獲得可能な市場規模は8兆ドル(約910兆円)で、次世代のソーシャルメディアやストリーミングサービス、ゲームのプラットフォームになる可能性が高いといいます。

 メタやマイクロソフトのほか、 Nvidia や Unity 、Roblox 、Autodesk 、Adobe などがメタバース事業を行っており、日本の証券会社から株式の購入ができます。すでに投資している人も多くいるでしょう。

 メタバース事業を行う会社に株式投資するほか、NFT やPlay to Earn 関連の仮想通貨に投資する、メタバース空間で土地を買うなどメタバースを利用した投資方法もあり、こちらも注目を集めています。

 

メタバース同士の相互接続が進む可能性がきわめて高い

近年、ブロックチェーンを相互接続する動きが活発になっています。ブロックチェーンにはビットコインやイーサリアムなどさまざまなものがありますが、互換性はほとんどありません。当然、ブロックチェーンを基盤にしたメタバースには、ブロックチェーンを超えた互換性がありません。

 ところが、ハブを設けるなどの方法で、ブロックチェーンを相互接続するようになってきました。今はそれぞれのブロックチェーン上に個別に存在するメタバースが相互接続し、利便性が向上すれば、メタバースに参入するハードルが下がりユーザーが増え、今よりもさらに大きな仮想空間を形成していくことが予想されます。

 

4.メタバースの活用事例

実際、メタバースはさまざまなことに活用されています。どのようなことに活用されているのかがわかれば、メタバースがより身近なものに感じられるはずです。この項目では、メタバースが実際にどのようなことに活用されているか、活用事例を挙げて紹介します。

 

マインクラフト

Minecraft(マインクラフト)は、2009年にNotch 氏が開発を始めたサンドボックス型のものづくりゲームです。プレイヤーは、ブロックやエンティティで構成された3D環境の中で世界を自由に構築できます。アバターのコスチュームの変更や自分なりの建物の構築のほか、プレイヤー同士が一緒にサバイバルを楽しむことができます。

マインクラフトはブロックチェーン技術を取り入れようとしています。将来、マインクラフトの世界の中でゲームアイテムなどの売買ができるよう、開発を進めています。

フォートナイト 


フォートナイトは、Epic Games が提供するバトルロワイヤルゲームです。2020年には、シンガーソングライターの米津玄師氏がフォートナイト上でバーチャルライブを実施し、話題になりました。

メタバースはアバターを介して人びとが活動や交流できる仮想空間を指しますが、フォートナイトにもメタバースが存在します。

フォートナイトは、ユーザーがコンテンツを作れるクリエイティブモードを提供しており、鬼ごっこやかくれんぼのようなミニゲームを楽しんだり、ユーザー自身が創り出した自分のスキンや動きを見せ合ったり、友達と都合のいいタイミングで合流してボイスチャットで会話したり、ユーザー同士でコミュニケーションを取ることができます。

 

Roblox

Roblox は、米国の子どもを中心に人気が高まっているゲームプラットフォームです。3Dの遊び場的なメタバースに、家を建てたり制限時間内にタワーのてっぺんまで登ったり、現実世界ではできないようなさまざまな遊びを作り出せます。

 Roblox がユニークなのは、ユーザーによってメタバースが構築される点です。プログラミングの知識がなくても、比較的簡単に遊びを作れます。

Robloxで遊べるゲームやアイテムをユーザー自身がクリエイターとして開発して販売したり、自分が手がけた空間に大勢のプレイヤーが来るとRoblox 内のデジタル通貨が手に入ったりできます。稼いだデジタル通貨は、現金に換金できます。

このように、クリエイターが得た収益を還元する仕組みが充実しており、2021年10月の時点で800万人ものクリエイターが2,000万以上の遊び場を構築しています。


NFT

NFTとはNon Fungible Token の略で、代替不可能なトークンという意味を持ちます。NFT は、ブロックチェーン技術を知ることでより深く理解できます。

 ブロックチェーン技術とは、取引履歴を暗号技術によって過去から現在まで1本の鎖のようにつなげて正確な取引履歴を維持しようとする技術です。NFT はブロックチェーンを利用したデジタルデータの一種で、アートや画像、動画、音楽やコレクターズアイテムなどの唯一無二で代替不可能なデジタル資産に、所有証明書をブロックチェーン上に記録し、固有の価値を持たすことができます。

 これまでメタバース内にあるアイテムは、簡単にコピーを作れたり、サービスの提供が終わると手元にアイテムが残らなかったり、さまざまなデメリットがありました。また、これまでメタバース内ではゲーム内通貨で取引されていましたが、NFT によって仮想通や法定通貨を使用できるようになりました。

また、アイテムのコピーができなったこと、台帳があるため所有権を明確に示せることも大きなメリットと言えます。


The Sandbox


The Sandbox は、暗号資産(仮想通貨)イーサリアムのブロックチェーン上に構築されたゲームです。The Sandbox 自体は10年ほど前からありますが、ブロックチェーンゲーム版は2020年8月にローンチされました。

 The Sandbox はメタバース上で自由に行動を楽しむサンドボックスゲームです。ユーザーはメタバースの土地(LAND)を購入し、そこに新たなゲームを作ります。The Sandbox 内には仮想通貨「 SAND 」が流通し、キャラクターやアイテム、ゲーム、イベントを作成しNFT化してマーケットプレイスに出品したり、土地に建てた施設を活用して不動産収入を得たりして、SANDを稼げます。

 仮想通貨である SAND は NFT 関連銘柄に数えられており、2021年に入ってから急騰しています。その理由は、NFT関連銘柄に対する注目度の高まりと、 SAND に限らず、仮想通貨全体の投資熱が増大していることが挙げられます。

 

5.メタバースは今後の発展に期待できる

ブロックチェーンを基盤にしたメタバースは多様な業界から注目を集めており、さまざまな企業が開発に参入し始めています。メタバースは次々と開発されていることからまだまだ発展途上であり、今後の大きな発展が期待できる分野です。ゲームを通じてメタバースの世界を手軽に体験できるのも魅力です。